Origin — 起源


モササウルスは、およそ8,000万年前の白亜紀後期に生息していた大型の海生爬虫類です。

体長は最大で15メートルに達し、細長い体と力強い尾を使って海中を自在に泳ぎました。

その姿はしばしば「海の王」と呼ばれ、当時の生態系の頂点に立つ存在だったと考えられています。

哺乳類ではなく、現代のオオトカゲやヘビに近い系統に属します。

Structure — 構造


モササウルスの歯は円錐形で、表面には細かな縦の稜線が走っています。

捕食時に獲物を滑らせず、確実に噛み砕くための構造です。

歯根部は中空の骨にしっかりと埋まり、定期的に生え替わることで、狩りに適した状態を保っていました。

化石として残るのは主にこの硬い歯冠部分で、エナメル質が鉱物化して保存されています。

Fossilization — 化石化の過程


死後、骨格や歯は海底の堆積物に埋もれ、ゆっくりと鉱物へと置き換わっていきました。

カルサイトやリン酸カルシウムなどの鉱物が有機成分に浸透し、数千万年を経て石のような質感を帯びます。

歯冠の表面には当時の磨耗痕や微細な亀裂が残り、それぞれの個体が生きた痕跡を静かに語ります。

モロッコやアメリカ・カンザス州などの地層から多くの良質な標本が発見されています。

Scientific Value — 学術的価値


モササウルスの化石は、海生爬虫類の進化を理解する上で重要な資料です。

骨格構造や歯の形状から、捕食様式・遊泳能力・系統関係などが研究されています。

また、海洋古環境の解析にも用いられ、白亜紀末期の生態系を復元する上で欠かせない存在です。

その歯1本にも、当時の海の力学と生命の記録が刻まれています。

In Spinos — 石に残る力として


Spinosでは、モササウルスの歯を自然の形のまま作品に取り入れています。

研磨や装飾は最小限にとどめ、化石そのものがもつ質感と重量感を感じられるように。

歯の表面に刻まれた細い稜線や欠け、光を受けて浮かび上がる微かな陰影は、

太古の海を生きた存在の記憶そのものです。

金属や石の静けさの中に、遠い生命の力を感じ取ってほしいと思います。