Origin — 起源

オルソセラスは、およそ4億年以上前、古生代の海に生息していた頭足類です。

デボン紀を中心に繁栄し、アンモナイトよりも早い時代から海の中を静かに漂っていました。

タコやイカと同じく頭足類に属しますが、殻は螺旋を描かず、まっすぐに伸びる直線的な形をしています。

この単純で無駄のない形は、当時の海を生き抜くためのひとつの選択でした。

Structure — 構造

オルソセラスの殻は、細長い円錐状をしています。

内部は隔壁によっていくつもの小さな部屋に分かれ、中央を通る管(サイフォン)によって浮力を調整していました。

この構造により、水中で姿勢を保ちながら上下に移動することができたと考えられています。

螺旋ではなく直線という形は、機能に徹した、静かな合理性を感じさせます。

Fossilization — 化石化の過程

命を終えた殻は海底に沈み、堆積物に包まれて長い眠りにつきました。

内部の空間には鉱物がゆっくりと入り込み、殻の構造をなぞるように結晶化していきます。

主に方解石が多く見られ、黒い石灰岩の中に白い断面として現れる標本が知られています。

その断面には、かつての生命の内部構造が静かに刻まれています。

Scientific Value — 学術的価値

オルソセラスは、初期の頭足類の進化を理解するうえで重要な存在です。

殻の構造や浮力調整の仕組みは、のちに現れるアンモナイトやイカ類へとつながっていきます。

直線的な殻は、頭足類が多様な形へ進化していく過程を示すひとつの基準点ともいえます。

そのため、古生物学・地質学の分野で今も研究対象となっています。

In Spinos — 石に残る構造として

Spinosでは、オルソセラスの内部構造が生む直線的なリズムを大切にしています。

断面に現れる層や結晶の並びは、自然がつくった抽象的な構造そのものです。

個体ごとに異なる線の太さ、結晶の密度、石の色。

ひとつの石の中に、遠い海の時間が、静かに封じ込められています。