Origin — 起源


アンモナイトは、およそ4億年前のデボン紀に姿を現した海の生きものです。

タコやイカと同じ頭足類に属し、外側には硬い殻を持っていました。

多くは温かな浅い海に暮らし、ゆるやかに浮遊しながら外敵から身を守っていたと考えられています。

白亜紀の終わり、約6,600万年前の大きな変動の中で、その姿は地球上から静かに消えました。

Structure — 構造


アンモナイトの殻は、外殻・隔壁・隔壁管という三つの要素から成り立っています。

内部は「気室」と呼ばれる小さな空間に分かれ、ガスや液体の量を変えることで浮力を調整していました。

その螺旋の形は対数螺旋を描き、フィボナッチ数列に近い比率で成長します。

自然が生み出す秩序のひとつとして、今も多くの研究者にとって興味深い存在です。

Fossilization — 化石化の過程


命を終えた殻は海の底に沈み、堆積物に包まれて眠りにつきました。

長い時間の中で有機物が鉱物へと置き換わり、化石として形をとどめます。

置換に関わる主な鉱物は方解石・黄鉄鉱・シリカなどで、環境によって色合いや質感が異なります。

モロッコやマダガスカルでは、地層の隆起によって今も美しい標本が見つかっています。

Scientific Value — 学術的価値


アンモナイトは進化の速度が速く、時代ごとに姿が大きく変化しました。

そのため、地層の年代を判断する“示準化石”として広く使われています。

地質学や古生物学の研究に欠かせない存在であり、

ひとつひとつの標本が、地球の時間を読み解く手がかりとなっています。

In Spinos — 石に残る形として


Spinosでは、化石のかたちをできるだけそのまま残しています。

それぞれの標本は地球がつくった唯一の造形であり、同じものは二つとありません。

表面に刻まれた線や層、結晶のひらめき——それらをひとつの風景として観察してほしいと思います。